今回のブログでは、私が体験機会の少ない子どもたちに「感動体験」を提供している背景についてお伝えします。
現在、日本国内の子どもの約9人に1人が相対的貧困に陥っています。
経済的に困窮している家庭において、基礎学力を育む「学習機会」と経験や実践を通じて生き抜く力を養う「体験機会」を比較すると、体験機会はどうしても二の次となり、子どもがそうした機会を十分に得ることができていない現状があります。
私は自身の経験から、さまざまな体験機会が自己形成に大きな影響があることを確信しています。あらゆる子どもたちが、多様な体験機会を当たり前のように得られる社会を目指し、私はこの活動をはじめました。
Project KIBOではこうした体験機会を3つの軸で捉え、子ども支援を行うパートナー団体と連携しながら、「感動体験」として子どもたちに提供してきました。
1つ目は、絆を深める感動体験。
映画館や遊園地に保護者や友だちと一緒に行き、共通の体験や思い出をつくること。
2つ目は、自身の興味関心に気づく感動体験。
ゲームスタジオやテレビ局の仕事の現場を見学したり、ITを学んだりすることは、将来の進路やキャリアを考えるきっかけにもなります。
3つ目は、子どもの世界観が変わる感動体験。
沖縄在住の子どもたちが冬の北海道を旅して、雪や食を体験しました。
最近では、歌手のMISIAさんとのコラボレーションにより実現した、MISIAさんのライヴに子どもたちと保護者の約200名を招待する企画がありました。MISIAさんの素晴らしいステージに私も感動しましたが、初めてライヴを体験する皆さんもとても喜んでくださいました。これはまさに「感動体験」になったと思っています。
一方で、活動を数年行い、気づかされたことがあります。それは、私たちが体験機会を提供する子どもたちは、身近な映画鑑賞やスポーツ観戦などに家族や友人と出かける機会すらも、いままで十分になかった子どもが多いということです。これらの体験も非常に高いニーズがあることが分かりましたので、こうした機会を増やしています。
映画鑑賞の場合は無償のチケットにくわえて館内でポップコーンなどの軽食が購入できる数千円程度の商品券を組み合わせて提供し、身近な人たちとの共通の体験や思い出作りになるような工夫をしています。
スポーツ観戦は、ラグビーとサッカー観戦に加え、先月は野球の試合にも子どもと保護者を招待しました。スポーツ観戦は、テレビ越しで見ているのと目の前で見ているのとでは迫力がまったく異なり、子どもたちが熱心に観戦していることが印象的です。
ときには、ラグビー元日本代表の大野選手にお越しいただいたり、スタジアムでは選手がプレイした直後のフィールドに行って芝に触れたりといったスペシャルな体験も。
これからの体験機会は、子どもたちの記憶に残り、人生を彩る楽しい思い出になってくれると信じています。
このような多様な体験機会は、私たちの活動に共感いただく多くの方々と連携して実現しています。みんなの力で体験機会が当たり前に得られる社会の実現を目指して、Project KIBOはこれからも取り組みを継続的に行います。
最後に、みなさんにとって「感動体験」とはなんでしょうか?
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