11月23日
10月15日
子どもにとっての感動体験には、大きなパワーがあります。
私は子どもの頃、家族で映画や野球を見に行ったり、当時暮らしていたアメリカ の名所に連れて行ってもらったりと、両親に多くの感動体験を与えてもらいました。父と映画 館で見た『2001年宇宙の旅』のシーンや、ライト兄弟の初飛行の地・キティホークを訪れて見た風景など、何十年も経った今でも、鮮やかに思い出すことができます。こうした体験の積み重ねが私の人生の糧となり、のちのキャリアの礎となりました。
大人になってからは、アメリカでPlayStation® が発売されたばかりの頃の感動体験が忘れられません。ロサンゼルスで開催されたゲームショーで、プレイしている子どもたちが目をきらきらさせて楽しんでいる表情を見たとき、エンタテインメントの力を実感し、おおいに感動したのです。
2018年にソニーの社長を退任し、一個人として社会に貢献できることを考える中で「私が両親から与えてもらったような感動体験を、子どもたちに提供できないだろうか」と思うようになりました。子どもの感動体験は「これがしたい 」「こうなりたい」という希望を持つきっかけになります。その希望が、なりたい未来を照らす光になり、自らの人生を切り拓くきっかけになってほしい。そんな気持ちで、Project KIBOを立ち上げました。
プロジェクト希望は感動体験が子どもの希望となり、原動力になることを信じて、体験の提供、講演会・セミナーの実施、また「感動体験支援基金」の設立を通じたあらゆる子どもへの体験機会を届ける活動を行っています。
プロジェクト希望は感動体験が子どもの希望となり、原動力になることを信じて、体験の提供、講演会・セミナーの実施、また「感動体験支援基金」の設立を通じたあらゆる子どもへの体験機会を届ける活動を行っています。
Project KIBOの活動では、私自身が可能な限り現場に行き、耳を傾けることを大切にしています。子どものリアクションは正直で「おもしろい」「つまらない」をストレートに表現します。だからこそ、いろいろなことに挑戦してもらって、自分は何が好きで、追求したいか感じてもらうことが重要だと考えています。子どもたちが将来や進路を考えるきっかけになればという思いから、私が講師を務める「進路セミナー」の開催や、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)のショールーム見学や社員と交流する機会も提供しています。
子どもの貧困や体験格差は社会全体の問題ですが、残念ながらこの実態を知らずに、他人事と考える人が多いのが現実です。問題をより広く知ってもらうため、そして解決に向けて社会全体で取り組むためにも、積極的な発信を心がけています。また感動体験は効果測定や数値化が難しいので、行政や一般的なNPOでは扱いにくい面があります。だからこそ、Project KIBOが取り組む意味があると考えています。
いつか「Project KIBOの感動体験を通じて、多様な生き方や働き方を知り、自らの人生を自分自身で切り拓く力を得るきっかけになった」という若者が現れてくれたら。そうして貧困の連鎖を断ち切った若者が次世代のために行動してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。未来に向けて支援の輪が広がることを信じて、活動を続けていきます。
団体概要
団体名 一般社団法人 プロジェクト希望
設立日 2021年4月1日
所在地 150-0012 東京都渋谷区広尾五丁目4番12号 大成鋼機ビル4F
代表理事 平井一夫
Project KIBOは、平井一夫が一個人の活動によって得た収益を、資金として活用していきます。
著書『ソニー再生』(日本経済新聞出版)、『仕事を人生の目的にするな』(SB新書)から得る印税や、それに伴う講演などで得られる収入も、すべて支援団体への寄付やProject KIBOが行う体験活動に活用しています。活動にご賛同いただける方はぜひ拙著をご購入いただけますと幸いです。既にご購入いただいた方には、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
2024年10月6日に著書『仕事を人生の目的にするな』(SB新書)が発売されました。
これから社会を担う人たちへ向けての本質を平井が語っています。